2017-11-23 越夜 白磁の地球を踏みしめて 遠い異国にまだ文も見ず 青い三日月を千切って散らして 声をひそめてなく海燕 「まだ故郷には帰れない」 銀の水瓶に溜まった涙を そこに映した星座ごと 飲み干して 夜を追い立てる街の明かりを 睨む 「私、生かされるために生まれたんじゃないわ。 生きるために、生まれたの」 羽音は彼方 月は、もはや燕を照らさない