遊星より、
あの日はあなたもご存知のとおり
降ってくるには絶好の星空でした
ぼくは月のひかりに流されないよう
必死に流れ星のしっぽにしがみついて
夜のはじっこに着地しました
記念すべき初上陸に
ぼくはといえば空を見上げて
すっかり遠くなったあなたを探したものです
探さなくてはあなたが見えないことに、そのとき初めて気づいたからです
あれから少しの時間が経って
ぼくも少しは慣れてきたつもりです
皮膚と空気の境界線や、
声で気持ちを伝えること、
それから焼きたてのパンの香り
そうそう、海は思っていたより
ずっとしょっぱかったです
あなたももうすぐこちらに来る頃だと
風の便りに聞いています
そのときは
生まれて初めて、握手をしましょう
愛を込めて。