ティコの灯台

すべてのよだかに灯を。

 

手紙を書く

 

さらさらした白い紙をインクで抉る

 

そうすると

 

インクは私の知らない声で話す

 

私の知らない、はなやかで人の良さそうな声で話す

 

紙の上でだけスカートをはいて

 

髪の毛を結って

 

オレンジの声できらきらと笑う

 

誰か

 

あの人の好きな、蜜柑色のセーターを思い出す

 

…青色は、好きだっただろうか

 

今日もそこまで考えたとこで、薬缶が鳴くので、ペンを置く

 

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