2017-12-09 セントエルモ 噛み殺した嗚咽が零れる ナイフみたいに握りしめたペン すました白をひっかいて、刻まれた 「HELP ME.」 滴って、喉を焼き コンクリートの床に落ちる 赤を赤といえば銃で撃たれた 傷以外に得たものはない では、失ったものはあったか? 置き去りにした昨日も 踏みつぶした幼い悲鳴も その背に負って、望んだ道に迷うなら 火よ 旅人の火よ だれかの痛みが生んだ緋よ だれかの叫びを呼んだ悲よ あの日、冷たい床に跳ね返って、空を馳け、星になった すべての旅人の涙のほのおよ 星の無い夜に光を あらしの海に凪を わたしが わたしたちが いつか あなたのもとへ帰るまで