2018-03-20 アネモネ また、ドアが叩かれる 「…どうぞ」 「うっとり」が「がっかり」に壊されないよう、冷えた両手に柔らかく握りしめて、 「この音は少し違うかもね」 なんて、舞い上がりそうな心に「じっくり」を被せて大人しくさせる。 ドアが開く か細い隙間から覗くつま先が 箱の中の猫の生死を決めてしまう前に 深く、 吸い込んだ空気 春の花の香りが混じる